こうした科学や錬金術の祖といえるのがプラトンの弟子のアリストテレスで、彼は師匠のイデア論を更に整理発展させて「エイドス」と「ヒュレー」という概念で世界を説明した。「エイドス」は「形相」とも言い、事物の性質を決定する要因のことであり、一方、「ヒュレー」は「質量」とも言い、事物を構成する材料のことである。そして事物の実態であり本質であるのは「エイドス」の方であるとした。ただ、現実世界では「エイドス」と「ヒュレー」はそれぞれ単独で存在するということはなく、この2つが組み合わさって事物となっている。
これを人間という事物にあてはめると、肉体は「ヒュレー」であり、霊魂が「エイドス」にあたる。つまり、これもまた霊肉二元論の1つのバリエーションなのである。そしてこれに善悪二元論が合わさる。すなわち、純粋なる「エイドス」のみの存在こそが、超現実世界に存在する「イデア」なのであり、それこそが真の神の正体なのだということになる。そうなると人間は自己の肉体の中に神と同質の霊魂を宿しているということになる。ならば、人間の霊魂を足掛かりにして、この世を「イデア」化すること、つまり「神の世界」へと昇華させることが可能なのではないかと考える者が出てきた。これが錬金術の始まりであり、これがニュートンを経て近代科学を生み出す。
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