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2009年06月28日

地球ナンバーV7 【スーパー戦隊シリーズ前史その65】

地球ナンバーV7

thumb_200_manga_18_px200.jpg「バビル2世」は秋田書店の発行する「週刊少年チャンピオン」に1971年から1973年にかけて連載された横山光輝の代表作の1つである。この時期、横山は既に歴史漫画に主軸を移していたが、創刊間もなく「マガジン」「サンデー」などの古参誌はおろか、1年早く創刊して部数を着実に伸ばしていた「ジャンプ」の後塵をも拝していた「チャンピオン」の編集部に一般受けする人気作となり得るものを描いて欲しいと依頼され、引き受けた作品であった。
「チャンピオン」は1969年創刊で翌1970年に週刊誌化された。4大少年向け週刊漫画誌の中では最も後発であり、創刊当初は人気作が少なく苦戦していた。創刊時の「チャンピオン」を引っ張った人気作は後述する永井豪の「あばしり一家」という作品だったが、これはあまりにも過激な内容で、確かに面白かったのだが、いつ打ち切りになるか分からないような作品であった。まぁそんな作品が掲載されていたというだけでも「チャンピオン」という雑誌の特殊性が窺えるが、「チャンピオン」がその傾向を更に強めて漫画史を変えるほどの異常性を発揮するようになるのはもう少し後のことである。
それについてはまた後述するとして、この時点ではチャンピオン編集部はもう少しマトモな人気作となり得るものを掲載しようということで1971年になって横山に「伊賀の影丸」や「仮面の忍者赤影」のような忍者漫画を描いてもらいたいという打診をした。ところが横山はもう忍者漫画には飽きており、ならば現代版の忍者漫画を描こうということで描かれたのが「バビル2世」であったのだった。


nammber1.jpg実はこの時点で横山は現代版の忍者漫画を1つ描いていた。「仮面の忍者赤影」の連載終了後、引き続いて「少年サンデー」に1968年から1969年にかけて連載した「地球ナンバーV7」という作品がそれである。これは1950年代から1960年代にかけて日本でも翻訳出版されるようになった欧米の古典的SF小説、例えば「宇宙戦争」や「火星年代記」などの影響を受けた作品であった。これら古典的SF作品の影響は手塚治虫など日本のSF漫画の黎明期のプロットなどに多大な影響を及ぼしているが、横山光輝においてもその影響は大きく、この「地球ナンバーV7」もそうした作品の1つである。
この作品においては、近未来、地球人が火星に植民している時代において火星植民政府と地球政府との間で紛争が生じて、火星政府が地球に超能力者を送り込んでテロ活動を展開し、それに対抗するために地球政府が地球側の超能力者を火星に送り込んで、火星側の超能力者と戦うというストーリーが展開される。火星の特殊な環境で生まれ育った地球人が超能力に目覚めるという設定は「火星年代記」などにも見られる定番の設定で、それを基にして「伊賀の影丸」や「仮面の忍者赤影」でやったような特殊能力を使った集団バトルを描こうとしたのが「地球ナンバーV7」ということになる。つまりSF版忍者バトル漫画というわけだ。
火星の超能力者テロ集団は「伊賀の影丸」における甲賀七人衆や「仮面の忍者赤影」における霞谷七人衆などに相当し、彼らを倒すための密命を受けて地球から火星に派遣されるコードナンバーで「V7」と呼ばれるディック牧という地球最強の超能力者は影丸や赤影に相当するというように置き換えて見れば、これはほとんど「伊賀の影丸」や「仮面の忍者赤影」と同じような話だということが分かる。また、コードナンバーで呼ばれるエージェントが主人公というあたりなどは1960年代に日本でブームとなった「007シリーズ」由来のスパイアクションの影響も見てとれる。
nendaiki2.jpgここではSFということで忍術の代わりに超能力がバトルの手段を担うことになる。つまり超能力バトル漫画である。だが、火星を舞台にしたSFを横山がこの時期に描かねばならない理由があったわけではない。火星は超能力の発現の辻褄を合せるために都合が良かったに過ぎない。横山はまず超能力バトル漫画が描きたくて、そのために「火星年代記」などを参考にして舞台を火星にしたのであろう。
では何故、横山は超能力バトル漫画が描きたかったのかというと、まず単に戦国時代や江戸時代を舞台にしたような忍者バトル漫画の忍術のネタがそろそろ尽きてきて、新しいタイプのバトル漫画を開拓したかったという理由があるだろう。また、前年1967年に石森章太郎と平井和正の共作による超能力バトルを題材とした壮大なスケールの漫画「幻魔大戦」が発表され、それに刺激されたという事情もあるだろう。

genma.jpgこの「幻魔大戦」はあまりにも作品世界を壮大なものにしてしまったため、収拾がつかなくなって中途半端な形で打ち切りになってしまった。その後も石森、平井の両名がそれぞれ続編めいたものを断片的に発表していったが、未完に終わってしまっている。石森の前述した「イナズマン」や後述する「千の目先生」などはこの「幻魔大戦」の外伝的作品に位置づけられており、ちゃんと完結していれば「サイボーグ009」と並ぶ石森章太郎の2大ライフワークとなるはずの作品体系であった(まぁ「009」も未完だが)。しかしハッキリ言って、大いに期待させた挙句、企画倒れになった作品と言うべきだろう。
ただ、この「幻魔大戦」は重大な意味を秘めた作品であり、そのためにストーリーが膨らみ過ぎてしまって失敗したのであるが、ここで石森が描こうとしたテーマは、おそらくアシスタントとしてこの作品に関わったはずの永井豪によってこの後、ほぼ完成された姿で描き出されることとなる。よって、永井豪について述べる際にこの「幻魔大戦」についても再び詳しく触れなければいけないが、ここではあまりに本筋から外れていくのでそれは後回しにすることとする。

namber2.jpgとにかくここで注目すべきことは、1967年に大反響(及びそれに続く大きな失望)をもって世間に迎えられた超能力バトル漫画の大作「幻魔大戦」を横山光輝(当時は「サリー」の連載を終えて「赤影」の連載中だった)もまた注目しており、そろそろマンネリ気味になっていた自身の忍術バトル漫画に続く新たなバトル漫画のジャンルとして超能力バトル漫画に注目するようになり、それでその翌年に「赤影」終了後の「少年サンデー」に「地球ナンバーV7」という超能力バトル漫画を描いたのであろうと思われることである。
石森の「幻魔大戦」は、その内容が中途半端なまま打ち切りになってしまったという事情もあり、また、あまりに深遠なテーマを描こうとしすぎたために描写が抽象的となり、肝心の超能力バトル(石森にとっては肝心でもなかったかもしれないが)が不完全燃焼な描写となってしまっていた。そのあたりを横山は改善し、自身の得意としてきた忍術バトルの手法をそのまま超能力バトルにあてはめて、よりエンターテインメント性の高い現代版忍術バトル漫画としての超能力バトル漫画を描いていった。そうして出来上がったのが「地球ナンバーV7」である。
babiru.jpgそして、そこで「超能力バトル漫画」のフォーマットをだいたい確立した横山が、この作品の連載終了後1年経ってからの1971年に「少年チャンピオン」からの「忍者漫画を描いてほしい」というオファーを受けて「現代版忍者漫画」として描いたのが「バビル2世」であるが、そこにおける超能力バトルの描写は「地球ナンバーV7」において描かれたような娯楽性の高く読者に分かりやすいものが更に発展的に継承されて応用された。
横山の超能力バトル描写は「地球ナンバーV7」を経て「バビル2世」で完成されたこと、「地球ナンバーV7」は割とマイナーな作品であるのに比べて「バビル2世」は大ヒットし、更にアニメ化もされたことなどからも、横山の超能力バトル漫画の元祖、いや、日本漫画界における本格的超能力バトル漫画の元祖は「バビル2世」であると見なされることが多い。まぁそれはそれでいいだろう。別に「地球ナンバーV7」を特にヨイショする理由は無いので、それでいい。
ただ、同じような描写の超能力バトルを描いていながら「バビル2世」の方が特に大ヒットしたのは、「バビル2世」には「地球ナンバーV7」には無い何か別の読者を惹きつける要素があったということになる。それは超能力バトル描写について考えた後で考えたいが、それは最終的には先述の「幻魔大戦」に絡んだ話に繋がっていくことになると思う。
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posted by 戦隊ヒロインBLOG at 21:15 | シリーズ前史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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