戦隊ヒロインBLOG

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2009年06月30日

混乱の塔 【スーパー戦隊シリーズ前史その67】

混乱の塔

20061225143359.jpg1971年から1973年にかけて「少年チャンピオン」にて連載された横山光輝の漫画「バビル2世」はその迫力ある超能力バトル描写で人気作となり、当初は3か月程度で連載は終了する予定であったが、あまりの人気の高さに、横山が物語を終了させようとする度に「チャンピオン」編集部が連載の継続を要請し、バビル2世に倒されたはずのヨミが何度も復活して再びバビル2世と戦うというパターンが繰り返されることになった。普通はこんなことを繰り返せばマンネリ化して人気が低下するものだが、それでも人気が高かったのだから、よほどこのお話は当時の読者には刺激的だったのだろう。
作品の魅力の大部分は今までにない激しい超能力バトルの描写にあったが、これは横山という職人漫画家が読者に分かりやすい超能力描写というものを突きつめた読者サービスの結果の産物であったのだから、それが読者にウケたのも当然といえば当然であった。ただ、この作品は読者サービスだけではなく、横山光輝らしい独自のテイストにも満ちており、そのあたりも作品の完成度を高めていた。これらの横山らしい要素の中にも後のヒーロードラマに大きな影響を与えた部分もあるので、触れておかなければいけない。


まず、このバビル2世の能力というのは大きく分けて2つあり、1つはバビル2世自身の持つ数々の超能力で、もう1つがバベルの塔の施設および「3つの僕(しもべ)」という眷属を駆使する能力であるのだが、もともとは両方とも普通の中学生だった山野浩一がバベルの塔へ導かれて、塔に設置されたコンピュータからの教育を受けて得た能力である。つまりバベルの塔にそれらの能力の源泉があったということになる。
e41c43a9a9f5fcd0f445e06d849d6f1f.jpgそもそも物語の発端は五千年前に宇宙船の故障によって地球に不時着した宇宙人バビルが科学力と超能力を駆使して地球人の協力を得て巨大な塔「バベルの塔」を建設したことから始まる。つまり、これは旧約聖書の創世記にあるバベルの塔の逸話をモチーフにしているのである。この「バビル2世」は様々な古典をモチーフにしているが、さすがに古典に造詣の深い横山らしいといえる。
聖書のバベルの塔の物語は、人間たちが自らの力を示すために天まで届くような高い塔を建て、それを人間の驕りだと見た神の怒りによって人間の言葉が互いに通じなくなり人々は塔を放棄して各地に散っていったというお話で、「バベル」は「混乱」を意味する言葉「バラル」が転訛して出来た言葉で、つまり「混乱の塔」という意味のようだ。
聖書においてはこの地がこの故事によって「バベル」と呼ばれるようになったとだけ記されており、この塔を「バベルの塔」と呼称してはいないし、この塔が破壊されたという記述も無い。しかし、この印象的な物語はキリスト教社会において長らく親しまれ、後付けで様々な物語が作られることになり、神の怒りによってバベルの塔が破壊されるというような話が作られるようになった。
横山光輝はこの「バベルの塔」の物語を、バベルの塔を建設したのは宇宙人だったという独自の解釈を施して、現代の超能力バトル漫画のプロローグとしたのである。すなわち、バベルの塔は宇宙人が故郷の星に救援信号を送るために天にも届くような高い塔を建設すtou.jpgる必要があったので地球人の協力を得て作ったという設定であった。ところが地球人のミスで塔の機能が破壊されてしまい救援信号を送ることが出来なくなり、バビルは地球で一生を終えることになってしまう。仕方なく地球人の女と結婚し地球人と共に生きていくことにしたバビルだが、彼の持っていた科学力と超能力は当時の地球においては隔絶したもので、地球人に有意義に使いこなせるものではなかったので塔の中に封印し、遠い未来において自分の子孫で自分と同じような超能力体質を持った者が現れた際にこの遺産を渡そうと考えた。そのため塔の中に未来のその子孫を教育するためのコンピュータと、適合者を探しだし導くための装置、補佐役の3種類の眷族「3つのしもべ」を作り上げ、塔に封印し、塔が人目に触れることが無いように砂嵐で防御するようにした。そして五千年後、バビルの遠い子孫にあたる平凡に暮していた中学生の山野浩一が塔のコンピュータによって適合者と認められてバベルの塔へと導かれ、特殊な教育プログラムを施されて超能力に覚醒し「バビル2世」となり、世界征服を企む超能力者ヨミと戦うというのがこの物語の本筋である。

fc029042.jpg「バビル」の子孫だから「バビル2世」と名乗るわけだが、これは本来の設定では先祖の宇宙人の名は「バベル」で、浩一も「バベル2世」と名乗るはずであった。「バベル」が建てた塔だから「バベルの塔」という劇中設定であったのだから、宇宙人の名前は「バベル」でなければ辻褄が合わない。しかし「少年チャンピオン」編集部のミスで「バビル2世」というタイトルになってしまったため、仕方なく主人公の名は「バビル2世」、そしてその先祖の宇宙人も「バビル」になった。
ならば塔の名も「バビルの塔」にしてもよかったはずである。実際、1973年に作られたアニメ版では視聴者の混乱を防ぐため塔の名も「バビルの塔」という名になっている(但し塔の名が出てくるのは第1話と主題歌の中だけ)。しかし横山の漫画版では塔の名は「バベルの塔」のままである。何故なら、横山にとってこの塔は「混乱(バベル)の塔」でなければならなかったからである。
そもそも超能力者の宇宙人が自分の子孫に遺産を残す場合、別にその保管場所が「バベルの塔」である必要は無く、わざわざここで旧約聖書の「バベルの塔」の逸話をアレンジして物語の冒頭に据える必然性は無いはずである。しかし横山はこの宇宙人の気まぐれな行動こそが「混乱の原因」であったと示唆するために、あえて「混乱の塔」としての「バベルの塔」を作劇の中心に据えることにしたのである。

というのも、この宇宙人バビルは単に自分の子孫に自分の遺産を渡したいという想いが強かっただけであり、その驚異的な力を未来の自分の子孫がどのように使うべきなのか特に指定しなかったのである。バビルが未来の子孫に宛てたメッセージ(これは漫画版にのみでてくる)は「この塔の力を使って地球を征服するのも地球人のために使うのも君の自由だ」というもので、よく考えればバビルは宇宙人であってたまたま地球に取り残されただけなのであって地球に何ら愛着は無いわけだから、自分の子孫の自由意思が地球の運命よりも優先されるのは至って当たり前の発想だといえる。ただその子孫で適合者として認められた山野浩一が地球人として生まれ育ち、img_421466_58488066_0.jpgたまたま健常な精神の持ち主であったので地球征服など考えず、自分の意思で塔の力を正義のために使おうと決めただけのことである。宇宙人バビルの態度は地球人の立場から見れば実に無責任といえる。
そして実はストーリーが進行していくにつれて明らかになっていくのだが、実は悪の超能力者ヨミもまた宇宙人バビルの子孫であり、昔、彼もまた適合者の候補として塔に導かれて超能力を開発されたが、素質が足りなかったため最終的に不適合と判断されて放逐された存在であったのだ。放逐はされたがヨミはその超能力を使って世界征服を企てるようになった。つまり混乱の種を蒔いたのは「バベルの塔」であり、バビルの遺した「この塔の力を使って地球を征服するのも地球人のために使うのも君の自由だ」というメッセージなのである。
塔のコンピュータも自らのミスが招いたこうした事態を憂慮していたと見えて、浩一が「バビル2世」を襲名し超能力を正義のために使うと決意したのを受けて、ヨミの情報を伝えて、バビル2世をヨミと対決するように誘導していく。そしてバビル2世はヨミと戦い、最初は超能力に不慣れなために苦戦するが、さすがに正統継承者なのでバビル2世の超能力はヨミよりも1枚上手で、最終的にはヨミを倒す。しかしヨミはまた復活して世界征服を企てる。「バベルの塔」が種を蒔いた「混乱」は続いていくのである。
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posted by 戦隊ヒロインBLOG at 20:57 | シリーズ前史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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