戦隊ヒロインBLOG

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2009年07月01日

三つのしもべ 【スーパー戦隊シリーズ前史その68】

三つのしもべ

img_649152_29231977_1.jpgこの「バビル2世」においては超能力はもともと素質を持って生まれた者がバベルの塔での特定の教育プログラムを経て開眼して修得するものとなっており、これも広い意味では宇宙人バビルの遺した超科学の遺産の1つである。つまり「科学の力を善用するのも悪用するのも利用者の心ひとつで決まる」という醒めた思想がこの漫画の根底にはある。科学そのものを無条件に肯定し礼賛するという発想は横山には無い。むしろ禍々しいものとして警戒している。これは操縦者の意思によって善にも悪にもなる「鉄人28号」や「ジャイアントロボ」と同じ思想である。
「鉄人28号」や「ジャイアントロボ」と同じといえば、ロデム、ロプロス、ポセイドンという「3つのしもべ」も宇宙人バビルの遺した超科学という意味で、同じように作者である横山から冷たい眼差しを向けられる存在である。
横山はこの「3つのしもべ」を「西遊記」における三蔵法師の3匹の従者である孫悟空、娑悟浄、猪八戒をモチーフにして作ったと述べているが、それは主人公バビル2世を守るための存在であるという点や、単に数が3つである点などについて言っているだけであり、「3つのしもべ」の個々の特徴そのものはむしろ「ジャイアントロボ」におけるGR-1(陸戦用ロボット)、GR-2(海戦用ロボット)、GR-3(空戦用ロボット)に近いだろう。つまり、陸・海・空をそれぞれ担当する兵器という側面が強いのである。

babiru07.jpgロデムはGR-1同様に陸上を担当し、ポセイドンはGR-2のように海を、ロプロスはGR-3のように空を担当する。ポセイドンは明らかに巨大ロボットであり、ロプロスも大きな鳥のように表面は擬装されているが実際はロボットであり、双方とも兵器としての武装を備えている。ロプロスもポセイドンもGR-1(ジャイアントロボ)や鉄人28号と明らかに違う点はどうやら独自の意思を持っているという点であるが、これはバベルの塔のコンピュータと連動しているようで、バビル2世の覚醒以前から活動せねばいけなかったという設定上、付加されたものであって、結局はバビル2世(および塔のコンピュータ=宇宙人バビルの遺思)の命令には絶対服従なのであるから、実質的には特定の操縦者によって遠隔操作されるという点で鉄人28号やジャイアントロボと同一の存在だといえる。
ロデムに関しては少し様子が違っており、ロボットではなく黒豹の姿をした生命体のように見えるが、真の姿は不定形のスライム状生命体で、どんな姿にも変身可能である。囮になったり変身して諜報活動を行ったり、バビル2世の身辺警護を担当することから、これも一種の生物兵器であろうと思われる。ロプロスやポセイドンと違って常にバビル2世の傍にいることから、バビル2世とテレパシーで会話して参謀のような役割も果たすが、バビル2世の命令に絶対rodem.jpg服従という点ではロプロスやポセイドンと同じである。
あくまでバビル2世の(そして作者である横山の)「3つのしもべ」を見る目は戦うための道具、兵器であって、従者である。決してドラえもんやアトムのように友人ではない。またマジンガーZのように一蓮托生の愛機でもない。距離があるのである。こういう点は鉄人28号やジャイアントロボと同じである。科学によって作りだされた兵器は禍々しいものとして距離を置く。しかし戦いのために有効利用はする。そういうスタンスは横山において一貫している。

そして、このように陸空海をそれぞれ担当する兵器が登場するのは「ジャイアントロボ」から受け継いだ傾向であるが、この「バビル2世」における更に一歩進んだ表現としては、「3つのしもべ」のデザインとして陸空海をそれぞれ象徴する動物をモチーフとしているという点が挙げられる。いや、陸戦担当のロデムは黒豹、空戦担当のロプロスは巨大な鳥であるが、海戦担当のポセイドンは例えばb15e3e95fd85b813.jpgサメやクジラのような海の生き物ではなく人間型なので、その点少し不徹底なのであるが、これはおそらく鉄人28号やジャイアントロボのような横山漫画らしい強力な人間型ロボットを登場させてほしいという「少年チャンピオン」側の要望があったのだろう。実際、このポセイドンが「3つのしもべ」の中で最強であり、決戦兵力として活躍するのであり、事実上の主役ロボと言っていい扱いとなっている。そういう意味でポセイドンは人間型である必要があったのだろう。
このように戦士のモチーフに陸・空・海を配するパターンはこの後、東映製作の実写特撮ヒーロー「超人ビビューン」を経て、更にこの「バビル2世」同様、それに動物モチーフを重ね合わせるという形で戦隊シリーズの「太陽戦隊サンバルカン」において結実(空=鷲、海=鮫、陸=豹)することになる。以後、戦隊シリーズで何度かこのモチーフパターンは使用され、またその他の漫画やアニメ、実写ヒーローなどでもこのパターンは定番化することとなった。「バビル2世」はこのパターンの原点としても画期的といえる。

そして、「バビル2世」において、この「3つのしもべ」の特徴的な点としては、これも鉄人28号やジャイアントロボと同様、「使う者次第で善にも悪にもなる」という点が挙げられる。「3つのしもべ」はバビル2世の超能力による命令しか聞かないはずなのだが、バビル2世よりやや劣るとはいえ同質の超能力を使うヨミの命令にも一定の条件下では従ってしまうのである。「科学の力を善用するのも悪用するのも利用者の心ひとつで決まる」という醒めた思想がここにも登場するのである。
f78407e7b3f798b8.jpgとにかく、超能力を使った直接対決においては絶対にバビル2世に勝てないヨミが3年間もの連載の間、しぶとくバビル2世に対抗し追い詰めていくことが出来たのは、まさに「科学」の力を応用する能力が極めて高かったからである。この「3つのしもべ」を逆に操ってバビル2世の作戦を妨害したりするのもたびたび効果的に使われた手法であるし、ロプロスと同等の怪鳥ロボットを作り超能力で操って破壊活動を行ってロプロスに罪を着せたり、バベルの塔を凌ぐ能力を持つ塔を作ろうとしたり、科学力を駆使した作戦の創意工夫においてはバビル2世を凌ぐ奮戦を見せる。
実際、3年間の連載がずっと高い人気を維持し得たのは、このヨミの奮戦があったからこそといえる。ヨミは悪役のクセに妙に部下の信任が厚く、部下思いの面もある。この物語のもう1人の主役はヨミであると言ってもいいくらいであり、横山はヨミにかなり肩入れしているようにも感じられる。その理由はおそらくヨミも「目覚めた者」だからなのであろう。それについては後で詳しく考察するとして、ヨミの劇中での扱いは「悪のバビル2世」なのであり、正義の側のバビル2世よりやや超能力は劣るとはいえ、同質の存在であり、その扱いに大きな差は無い。
yokoyama-babiru.jpgつまり、この「バビル2世」においては善と悪の間にそれほど大きな違いが描かれていないのである。どちらも同じように禍々しい科学の力で戦う者同士で、本質的にはそれほど違わないのである。つまり悪はとことん悪というわけでもなく、正義も絶対的な正義なのではない。やはり横山の認識は何処か醒めているのである。

そしてまた、この漫画においては横山は更に「科学の乱用は必ず手痛いしっぺ返しを招く」という教訓をも提示している。この漫画における超能力は無限エネルギーではなく、使用した後は体力を激しく消耗する。バビル2世との熾烈な超能力戦の結果、ヨミは干からびた老人のようになり衰弱死してしまう(後で連載継続のため復活するが)のだが、その姿を通して横山は「科学の乱用は人類の未来に決して良い影響を及ぼさないだろう」という警告を発しているのである。
そしてここで注目すべきは、このような超能力の乱用による衰弱現象は悪の側のヨミだけではなく、正義の側のバビル2世においても全く同等に現れる現象として描写されていることだ。それでどうしてバビル2世がヨミに勝つことが出来たのかというと、ヨミには無い「エネルギー吸収能力」を持つバビル2世が「エネルギー衝撃波」を放つと見せかけてヨミの放つエネルギーの吸収をし続け、衰弱死したと見せかけ、油断したヨミの不意をついてエネルギー衝撃波で倒すという作戦の妙で勝利したに過ぎない。「科学の乱用は手痛いしっぺ返しを招く」という弱点を持つのは正義も悪も関係なく平等なのである。つまり「科学の乱用」は正義であれ悪であれ、横山にとっては忌むべきもの、排すべきものなのである。そういう点において、絶対的な正義などというものは存在しないのである。
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posted by 戦隊ヒロインBLOG at 19:28 | シリーズ前史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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