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2009年07月07日

元禄バブル 【スーパー戦隊シリーズ前史その74】

元禄バブル

new_saikaku1.jpgこうした江戸前期の読書文化は17世紀終盤には「仮名草子」から派生する形で「浮世草子」と称される一連の作品群を生み出すことになる。これは当時勃興しつつあった商人階級の風俗を描いた享楽的傾向の強い作品群で、その代表作とされるのが井原西鶴の「好色一代男」である。
この小説は「源氏物語」54帖になぞらえて54章の構成で1人の男の女性遍歴を描くというもので、江戸時代文学の最高傑作と現在では評されている。確かに極めて高い文学性はあるものの、一種のポルノ小説であり、これが江戸期最高の小説というのはいささか大袈裟と言わざるを得ない。そもそも井原西鶴という小説家は彼の生きていた頃は流行作家として有名ではあったが、その死後には忘れられ、江戸後期の戯作文学全盛時代においては歴史に埋もれた存在となっていた。それを再発見して「元禄の文豪」として持ち上げたのは幸田露伴や尾崎紅葉のような明治の文学者たちだった。
これにはカラクリがある。彼ら明治の文学者の最大のテーマは、いかにして明治維新以前の旧態依然とした封建時代の価値観を超克して西洋諸国のような「進歩的」で「開明的」な文学を打ち立てるかということであったので、彼らから見れば江戸時代後期に隆盛を極めていた封建道徳に則った文学は否定されるべき前時代の遺物に過ぎなかった。そういうわけで近代の文学者による江戸後期の文学に対する評価は不当に低いものとなっている。その一方で、江戸後期の封建道徳に則った文学に先行して存在した元禄期の文学には必要以上に高い評価を与える傾向がある。それは、この時期の文学が封建道徳や儒教道徳の影響をあまり受けていないからである。だから明治の文学者から見ればそれは進歩的で開明的なものに見えたのであろう。

51uInS8gkkL.jpg実際のところは「好色一代男」にはじまる「浮世草子」など元禄期の文学、いや元禄文化全体は、気候温暖化と新田の大開発の結果17世紀後半に訪れた日本史上空前のバブル景気の中で日本人(といっても上方町人の一部だが)が初めて経験する消費文化を満喫することを肯定的に捉える享楽主義に染まったもので、さして文学的に深みのあるものでもなかった。
まぁ中には「好色一代男」のような優れた作品もあったわけだが、他にはそれほど優れたフィクション小説は生まれていない。何故なのかというと、善悪の価値観が相変わらず希薄で好悪の感情のみで物語を描く傾向がこの時期はまだ強いからである。つまり、幕府の啓蒙方針の甲斐はあまり無く(もうこの時期には啓蒙などする意欲も無くなっていたが)儒教道徳はあまり庶民に浸透していなかったのである。
それが一概に悪いこととは思わない。儒教道徳は日本文化には合わない面もあるし、そもそも統治哲学である儒教道徳を庶民に啓蒙しても仕方ない。だから浸透していなくても日本人は気楽に暮らして%E5%A5%BD%E8%89%B2%E4%B8%80%E4%BB%A3%E7%94%B7%EF%BC%92.jpgいたし、天下も儒教道徳など浸透しなくても安泰に治まっていた。結局は世の中を泰平にしていたのは幕府の武力でも儒教道徳でもなく、この時期に急速に発達した貨幣経済であった。世は商人の時代に移り変わりつつあり、武士は無用の長物となりつつあった。そうした時代の気分をそのままストレートに表現したものが元禄文化であったのだ。これは明治の精神にも通じるものがあり、だからこそ明治の文学者から見て元禄文化は進歩的で開明的にも見えたのであろう。
このまま社会全体が貨幣経済に染まっていけば、18世紀初頭には明治期と同じような社会が出現したかもしれない。そうなったらなったで良かったとも思うが、ただフィクション小説の発達という観点に限って言えば、やはり江戸時代後期という時代は必要不可欠であったと言うべきであろう。書物の普及によって「源氏物語」や「太平記」などの優良なフィクション小説も広く庶民に知られるようにはなったが、それでもまだまだコンテンツの数は決定的に少なかったのである。

16f6ffa7.jpg江戸時代の日本が元禄バブルの勢いのまま18世紀初頭にすんなりと社会変革が出来なかったのは、武士階級という不良債権を抱えていたからであった。戦国時代に戦乱がなかなか終わらなかったのは個々の武士が生産手段を持って富裕化して自立傾向が強かったからであり、兵農分離によって武士から生産手段を取り上げて俸禄で縛って飼い殺しにすることによって戦乱を終わらせたのが信長や秀吉であった。その事業を引き継いだ家康の作った江戸幕府も武士に生産活動への従事を固く禁じ、農民や商人から切り離して城下町に囲い込んでサラリーマン化することになった。「士農工商」の身分制度を固定化したのはそうした狙いがあってのことである。
武士は俸禄として米を支給されて生活を保障され、天下の治安維持のための将軍の従順な傭兵となった。武士は米以外の生活用品を米を御用商人に売って得た金で買った。そうした取引(および貿易)のために幕府は貨幣を鋳造して御用商人に与えた。
江戸初期のまだ質素で戦乱の気配の残っていた時代はそれで上手く治まっていた。しかし由比正雪の乱以降、幕府が中央集権制への志向を断念して武断政治を改めて文治政治を採用するようになると、05_p01.gifもはや戦乱の気配は無くなり、各地の大名は幕府と抗争する心配をしなくて済むようになり、ゆとりをもって領国の統治に着手するようになった。折しも気候が温暖化してきており、17世紀中頃から大々的に新田開発が行われ、米の収穫量が莫大に増加した。この頃には家康の始めた儒教を統治哲学とする方針が各大名に浸透してきており、儒教において理想とされる君主は徳の深く慈愛に満ちた政治を行う君主であり、儒教にかぶれた大名たちは善政競争を繰り広げた。
つまり米の収穫量は増えているのに年貢を増やさなかったのである。いや、むしろ年貢を減らした。収穫量は増えているのだから年貢率を減らしても大名の手元に集まる米の量は同じだからである。つまり「徳の高い君主」を標榜する大名たちは、生産量が増えたことに乗じて暴利を貪るようなことはせずに以前と同じ税収で我慢し、新たに増えた生産量の分は領民の可処分所得としたのである。もちろんお殿様だけではなく、それに仕える武士たちも全員、以前と同じ俸禄米で我慢した。非常に立派な心がけだとは思うが、これは経済原理を理解していない政治である。だいたい儒教というものは経済を全く理解していないのである。

untitled.bmp収穫量の激増と年貢の引き下げによって大量の米を保有するようになった農民たちは、そのまま持っていても仕方ないので余った大量の米を商人に売って貨幣に換えた。そしてその金で商品を買うようになり、民衆の生活レベルは高くなった。つまり日本の歴史において初めて大規模な消費文化というものが発生し、その結果、貨幣経済が普及して商業が大きく発展したのだ。
しかし、そうなると大量の貨幣が必要になってくるのだが、鉱山からの金銀銅の採掘量が経済発展の度合いに比例して増えるわけではない。いや、むしろ江戸初期には大量に採掘されていた国内鉱山の金銀銅はこの時期になると枯渇してきており、その上に消費文化の発達によってシナ産の贅沢な絹織物の需要が高まり、その代価として大量の金銀が海外に流出していき(「鎖国」といっても実際は幕府による管理貿易体制のことで、貿易自体は江戸時代を通じてオランダ商人を通じて盛んに行われていた)、国内市場は慢性的貨幣不足に悩まされるようになった。
k1286.jpgそうなると貨幣価値が上がり商品価値が下がる。特に大量に余っている米の価格は暴落し、米を換金して得られる貨幣の量はどんどん目減りしていくようになった。しかし武士の各家庭に支給される俸禄米の量は固定されているので、実質的には武士の各家庭の収入は年々目減りしていくことになる。つまり貨幣経済が発展すれば米経済に基づく武士の家計は逼迫していき、武士階級は破産に追い込まれていくという構造的問題が発生したのである。
こうして上方庶民の消費文化を背景に井原西鶴や近松門左衛門が活躍した元禄時代、庶民はどんどん豊かになり、一方、武士はどんどん困窮していった。しかし武士は統治階級であるので下々の庶民よりもみすぼらしい生活を送るわけにもいかず、借金をしてでも贅沢な生活を維持しようとした。特に大名家などは商人から莫大な借金をして豪勢な生活を送った。
こんな危なっかしい話も無いのだが、とにかく貧乏とはいえ統治階級であるので商人もなかなか逆らうことが出来ず金を貸し続けた。こういう無茶がピークに達して、これらの借金は返済不能になって焦げつき、不良債権化し、大名家は権力を嵩に着て借金を踏み倒し、多くの商家が倒産し、18世紀初頭に元禄バブルは弾けて吹き飛んでしまった。これによって武士階級の信用は崩壊し、商人は武士に金をあまり貸さなくなったので、武士は慢性的に貧乏となり、幕府や大名の財政は常に逼迫するようになった。そうした流れを受けて、18世紀前半には「質素倹約」を旨とする徳川吉宗の享保の改革が行われることになるのである。このような時代に武士や庶民はどのように生きていったのか、それを考えるには、まず武士とはそもそもどういう存在なのか考えてみることにする。
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posted by 戦隊ヒロインBLOG at 22:59 | シリーズ前史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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